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音楽理論音楽理論(おんがくりろん)とは、音および音楽に関する諸現象を記述する理論の総称である。ただし、音楽史や民族音楽などのような人文科学的な性格の強いものは通常「音楽学」と呼び、音楽理論とは呼ばれないことが多い。あくまでも音や音楽そのものに関する理論体系であり、その点では科学的・文法的な性格が強い。
[編集] 概要音楽理論の研究は音楽学の一大分野となっている。 音楽理論は、他の人文科学や自然科学の理論と同様、おびただしい量の「有力な仮説」および「有用な手段」の有機的な集合体であるとみなすことができる。したがって、何を「有力」あるいは「有用」とみなすかによって音楽理論は大きく姿を変えることとなる。言い換えれば、己の求める音楽の方向性に差異がある人同士では、必ずしも同一の音楽理論を共有しないのである。 たとえば、現在「音楽理論」という語は主に「西洋音楽におけるハーモニーに関する理論」と同一視されてしまうことも多いが、西洋音楽の中にも旋律を重視する理論、楽曲の構成を重視する理論など、そのバリエーションは多岐にわたり、また同じ西洋音楽でもクラシック音楽系の理論とポピュラー音楽系の理論ではその姿は大きく異なっている。また非西洋音楽、たとえば日本の雅楽やインドネシアのカラウィタンは西洋音楽とは異なる歴史をたどってきた以上、異なる理論体系を持つのは当然ということができる。 [編集] 音楽理論と作曲音楽理論と作曲には密接な関係がある。この関係はたとえば自然科学と科学技術の関係にも似ているといえるであろう。すなわち、雑多な音楽からそこに共通する性質を抽出し、体系化する。(ただし、これは必ずしも厳密なものではなく、「このような傾向がある」といった統計的・感覚的なものの場合の方が圧倒的に多い。)そしてその体系を学んだ作曲者がまた新たな作品を作る、などといった一連の流れが、歴史的にさまざまな基礎理論とその応用との間に見られた関係と類似しているのである。このようにして世界中のさまざまなところで、各々の民族のための音楽理論や楽曲が発展してきたと考えられる。音楽理論と作曲の関係は言葉のようにまず音楽によって半ば即興的にしゃべられてから、後で文法のように理屈付けされるのが圧倒的に多い。従がって4声の和声課題や4声の旋法フーガ課題のような曲:音楽は実世界には全く存在しない単なる音楽の文法書に過ぎない。 [編集] 音楽理論の現状現在音楽理論は、他の芸術学の諸分野と比較して、その研究が遅れていることが指摘されている。たとえば、和声学の根幹を成す機能和声の原理でさえ、その生理学的及び音響学的な根拠ははっきりとは解明されておらず、未だ多くの人が美学的な知見で説明しているに過ぎないのが現実である。またそれ以前に、なぜ完全5度が協和音程で、短2度が不協和音程であるのかを首尾一貫説明できる理論ですら未だ現れていない。などであるが、実質は言葉における文法と同じように民族的・慣習的な比重が非常に高い。 西洋音楽の伝統的な体系とは異なる体系のなかで追求されてきた音楽、いわゆる現代音楽は、音楽の内容や技巧においていえば、過去の巨匠(ベートーヴェンなど)と匹敵し、それを凌ぎさえするものはとても多い。それにもかかわらず、現在、現代音楽はベートーヴェンのような大衆性は勝ち得ていないし、結果的に言えば、一応伝統的な枠組みのなかにとどまったポピュラー音楽から大きく引き離される、という形で幕を閉じてしまった感が1970年代末まではあった。しかし、現在はフランク・ザッパやジョン・ゾーンのように現代音楽を聞いてポピュラー音楽の音楽家になることを決意したものも多く、現代音楽にも「優秀な作曲家とそうでない作曲家との階層」が顕在化した。21世紀に入った現在では、ジャンルを問わずになにが新しい知覚を切り開いた技法なのかを、認知心理学や音楽生理学からのアプローチで解決する試みが始まったばかりである。 このような事実から、音楽現象を相対主義的なアプローチで完全に説明するには無理があり、必ず生理学的な根拠があると信じている人は多い。この立場から、現在では、心理学、脳科学の分野などで、音楽の根本的な原理を追求する動きも盛んになっている。 [編集] 西洋音楽の音楽理論[編集] 体系の概要西洋音楽理論においては、リズム・旋律・和声が「音楽の三要素」とされる。ただし、これらは対立する概念ではなく、互いに深い関係のもとで結びついており厳密に分解することは不可能とされている。したがって、音楽を学ぶ上でもこれらをバラバラに理解することは望ましくないとされ、これらを有機的に関連付けて教育されている。たとえば、入門期には楽典と呼ばれる音楽理論の基礎を網羅的に学ぶことが多い。また、より専門的になると、たとえば作曲の初歩においては、まず対位法・和声法・楽式論が最も重視されるが、対位法と和声法は相反する理論ではなく、それぞれの理論が、リズム・旋律・和声のそれぞれの概念を異なる比重で内包しているのである。 ポピュラー音楽系の理論は、バークリー音楽大学で教えられている理論が元になっていることから、バークリーメソッドと呼ばれることがあり、ハーモニーやメロディに関する総合的な理論に発展している。 [編集] 歴史西洋音楽の歴史は、音程に関する理論の研究から始まったと見るのが有力である。 中世において、音楽理論は自由七科(文法、論理学、修辞学、算術、幾何学、天文学、音楽)のひとつに分類された。そこでは、音楽の調和(ハーモニー)は、自然界の調和の象徴であるとされ、音楽理論は算術・幾何学・天文学と並ぶ数学的四科のひとつとされた。そして、他の数学的学問と同様、自然界に内在するある種のイデアを追求する学問と考えられていたのである。(たとえば、惑星の軌道を音楽で記述しようとした科学者がいた、など。)したがって、この時代の音楽理論の研究家は必ずしも音楽家ではないのだが、これによって音程に関する研究が大きく進展したというのは事実である。 19世紀後半になると、人工的な原理、公理を出発点にした理論も現れるようになった。 [編集] 楽典楽典(がくてん)とは、音楽を演奏するためには知っているべきである最低限の知識である。具体的には、楽譜の読み方、および音楽理論の基礎である。
演奏記号および 欧文西洋音楽用語の一覧を参照
[編集] "音"の理論音の音響学的、音楽心理学的な知識が、音楽理論の最も基礎的な部分である。たとえば、単音には音色・音高・音強の属性があり、物理学ではこれらは音波のスペクトルによって決定されると説明される。具体的に、音高はスペクトルの主要成分の周波数、音強はスペクトルの主要成分の強度、音色はスペクトルの分布で決定される。また心理学によって、音高や音強は物理的な量に対して対数スケールで認識されると説明されている。 [編集] 記譜法記譜法とは、楽譜を書くときの規則のことを言う。特に音楽家同士が楽譜によってコミュニケーションをとることが必要とされる分野においては必須の知識である。 [編集] 調律・音組織"音"そのものでは音楽にはならないため、音を規則的に組み合わせて、音楽の基礎となる土台を作る必要がある。それが、音律や音組織である。 [編集] 律動(リズム)リズムはあらゆる音楽において最も本質的とされることが多い。ミクロ的な視点からは、拍節、小節などがリズムの単位となる。マクロ的な観点では、楽曲の構成も一種のリズムと考えることが可能であり、これは主に楽式論に関わる領域である。 [編集] 旋律(メロディー)[編集] 和声(ハーモニー)異なる音高の音を同時に鳴らすことによって和音が生まれる。特に倍音列に基づいて選ばれた音から和音を作る考え方、すなわち「和音は調和(ハーモニー)である」とする考え方は、西洋音楽の最大の特徴ともいえる。さらに、単なる"音"ではなく旋律でハーモニーを作ることを対位法といい、それを簡略化(整理、理論化)したものに和声法、コード進行などがある。 ただ、初期の対位法はハーモニーを意識していなかった経緯はある。それら3度和音の積み重ねという基本的理念は西洋音楽史上でのことでもあり、それは各旋法や音階の種類等も相俟って考えられる。 [編集] 管弦楽法(オーケストレーション)[編集] 楽式論音楽の形式や構成に関する領域は、楽式論で扱われる。具体的には、動機の組み合わせによって旋律を構成すること、旋律や和声を組み合わせて曲全体を構成することなどである。 [編集] 楽曲分析(アナリーゼ)既存の楽曲を分析することによって、音楽理論の実際の用例を調べることを楽曲分析という。主に和声と楽式の観点から分析することが多いが、ドイツの音大ように化学の分析のように音一つ一つまで原子単位に分解しそれから再構成して説明する徹底したやり方もある。一曲の分析に半年をかけることも多い。また近代ではシェンカー理論のような理論もある。 [編集] 現代音楽の作曲理論原則として現代音楽は作曲者独自の文法・方法で自由自在に作曲することが認められている。従がってそれぞれの作曲者の考え方が違うだけの作曲技法・様式が存在し、その多様性は無数に近くある。過去のような機能和声や旋法対位法などの共通の原語は全くないので、それぞれの曲を理解するにはそれぞれの作曲家の音楽文法をその都度理解することが求められている。もちろん共通の国や師弟関係・流派関係にある作曲家同士は似たような作曲法を取ることがよくあり一般には理解しやすい。
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