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ヴェロキラプトル
ヴェロキラプトル(Velociraptor)は、約8,300万-約7,000万年前(中生代白亜紀晩期)の東アジアにあった大陸に生息していた小型恐竜。獣脚類に属す。化石はモンゴル、中国、ロシア東部からmongoliensis の1種のみ発見されている。当時これらの地域は中央アジア以西とは切り離された大陸の一部であった(画像資料[1])。 体格は小さくほっそりとしており、頭蓋骨は大きい。際立った特徴として後肢に大きな鉤爪(かぎづめ)を具える。羽毛恐竜であったと考えられる。 映画『ジュラシック・パーク』シリーズによって一般にも広く知られるようになったものの、そのイメージは本種ではなく中型恐竜であるデイノニクスのかつての復元像に近いと言わざるを得ない。
[編集] 学名属名 Velociraptor はラテン語の「velocitas (swift、素早い)」と「raptor (robber、predator、泥棒、強盗、略奪者、捕食者)」をもとに造られた名称で「敏捷な略奪者」とでも訳すべきもの。 英語音(音声資料[2])を日本語転写すれば「ヴェロスィラプター」であろう。 中国語名は「伶盗龍」。 種小名 mongoliensis (モンゴリエンシス)は化石の発見地「Mongol (現地名)」とラテン語「-ensis (起源とする・由来する〈もの〉)」からなる合成語で、「モンゴル由来のもの」「モンゴル産」を意す。 [編集] 発見史本種は1922年、米国人古生物学者ヘンリー・フェアフィールド・オズボーンを隊長とするアメリカ自然史博物館の調査隊により、ゴビ砂漠のモンゴル国領内バヤンザグ(英名:Flaming Cliffs)にて発見され、1924年、同氏によって記載[3]された。東西冷戦下の1971年には、ポーランドとモンゴルの合同チームが、本種とプロトケラトプスの格闘する様子を留めた化石(鉤爪の項、参照)を発見。さらには2007年、古生物学者アラン・ターナー等がモンゴルにて、羽毛がついていた証拠と言える等間隔に並ぶ突起(quill knobs)を有する前肢の化石を発見している[4]。 現在のところ、化石はモンゴル、中国内モンゴル自治区、および、ロシアから発見されており、白亜紀後期の東アジアにあった大陸でのみ生息が確認されている。 [編集] 形質[編集] 概要全長(頭胴長+尾長)約2.07m、腰高約0.5m、推定体重最大15kg程度で、その大きさはおおよそ七面鳥程度、コヨーテ程度と表現される。体格は小さくほっそりとしており、頭蓋骨は他に比してかなり大きい。吻部[5]が反り上がる一方で眼窩の突出が無く、むしろ、凹んでいて全体に弓形の形状を示す。また、最大頭骨長25cmと非常に長く直線的であり、これらの特徴によって近縁種と明確に区別される。本種の際立った特徴として後肢に大きな鉤爪を具えており、狩りの際、獲物に致命傷を与えるのに用いられたとされるが、その使用方法の実際については切り裂き型と刺突型で説が分かれていた。現在は急所に対する刺突用の武器であったのと見解が支配的である。 [編集] 鉤爪身軽な運動能力に加えて、彼らが具える大きな鉤爪や鋭い歯は他の動物には脅威であったと思われる。極めて珍しいことに、この鉤爪をどのように使ったのかという事が化石の中に証拠として残っている。これはプロトケラトプスと闘っている状態の化石で、ヴェロキラプトルの爪がプロトケラトプスの頭部を捕らえている事が分かる。この化石が残された原因としては、恐竜達が組み合って互いに引けない状態にあった時、砂嵐に襲われてそのまま埋もれてしまったとか、砂の穴に呑み込まれてしまったなど考えられているが、詳細は不明である。現代の力学的再現実験により鉤爪では皮膚を突き通す事は可能であるが、内歯がついていないので切り裂く事はできなかったであろうと考えられている。そのため、鉤爪は獲物の急所である喉(のど)や首元に集中的に突き刺すためのものであったと思われている。この格闘化石はモンゴル国に帰属するものではあるが、2000年以降、米国はニューヨークのアメリカ自然史博物館にて展示されている。 [編集] 高い知能
ヴェロキラプトルの頭蓋骨化石標本(フランス、エクス=アン=プロヴァンス自然史博物館)
ヴェロキラプトルの全身骨格標本(ベルギー、ブリュッセル王立自然史博物館)
全体重に比べて脳の重量比が高く、高い知能を具えていたと考えられる。ある程度の社会性を持ち、集団で狩りをしたと考える向きもあるが、集団化石が発見された事は今のところ無い。近年あいついで中国から発見されたヴェロキラプトルに近い恐竜の化石の中には、羽毛の痕跡が保存されているものもあり、鳥の翼に似た翼を持っていたと考えられている(ただし、飛翔能力は無かったとされる)。羽毛そのものの痕跡ではないが、ヴェロキラプトルの化石からも羽毛の存在を示唆する特徴が発見されるに至り、彼らが羽毛恐竜であったことは確実視されることとなった。また、この事実とそのほかの多方面からの知見によって、本種もまた鳥類に近い系統の恐竜であると考えられている。 [編集] フィクションヴェロキラプトルの名は、1993年製作のアメリカ映画『ジュラシック・パーク』で一般にも広く知られるようになった。しかし、原作である小説で知恵の利く厄介な生き物として描かれている小型恐竜「ラプトル」のモデルが記述内容から判断してヴェロキラプトル・モンゴリエンシスであるのに対して、映画でモデルとされたのはデイノニクスであった[6]。これはヴェロキラプトルとデイノニクスを同一種と見なす当時の説に準じてのものであるが、ヴェロキラプトル自身の大きさはコヨーテ程度であり、頭蓋骨の形状の違いや生息した時代のずれなどから、今日では説自体が否定されている。また、映画製作当時はまだヴェロキラプトルが羽毛恐竜であったとの今日的な説はそれほど注目されるものではなかったのであり、したがって、その描写は旧説に基づく再現となっている。もっとも、当時の一般的認識では恐竜に羽毛が生えているなどおよそイメージされない異質な描写であり、学術的にどうであろうとも興行的判断から羽毛恐竜ラプトルの登場は困難であった。 [編集] 系統関係図[編集] 関連項目[編集] 脚注
[編集] 外部リンク
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