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ガレージキットガレージキットとは、少数生産される組み立て模型のキットを指す。 射出成型のいわゆるプラモデル、プラキットに対して、その以外の生産方法による製品の多くはガレージキットと呼ばれる。原型製作者名が明示され(射出成型に比べて)簡易な複製方法で生産されるのが特徴。
[編集] 字義的な意味名称の由来は60年代末にアメリカで「ガレージロック」を元に命名されたというのが定説である。また、欧米におけるバックヤードビルダー(自宅の裏庭などで専門家顔負けの技術でいろいろなものを作るひとびと)の作業場所が主にガレージであることからガレージロックと同じく、同好の士が作り配布する小規模な組み立て式模型を示す。現在では製作技法の進展と造形素材の入手しやすさなどから生産数が増えてきており、「少数」の定義は多少曖昧になっている。 「ガレキ」と略されることもある(そして、「出来が悪い」という評価とともに「瓦礫」という身もふたもない当て字がなされることもある)が、これは島本和彦の『ガレキの翔』(徳間書店、1995年3月発行)という作品で広まった言葉と概念であり、モデラーやファンにはこう呼ばれることを好まない人もいる。 [編集] 発展日本はプラスチックモデルが造形技術がある程度成熟してから流入したために中小模型メーカーの商品であってもインジェクションキットが一般的だが、欧米では大量生産では採算の取れないマイナーなアイテムをバキュームフォームキットとして製作、販売するメーカーが存在していた。高額な金型が必要になるインジェクションキットに較べ、家庭用の掃除機でも製作可能なバキュームフォームは少数生産に向いた製法である。1960年代から70年代までのガレージキットはバキュームフォームや、ペーパークラフトをプラスチック板に転写したものが一般的だった。 模型市場が拡大してくると、大手模型メーカーにより生産、販売される商品に対する不満を感じたユーザーなどによって、個人製作のガレージキットが製作された。ここでいう不満とは、精密さ・再現度・表現力などの質的な面とラインナップの不足などの量的な面である。またそれには知名度や人気の低い作品への愛着やマニアから高い評価を受けたデザイナーのデザインの立体化など、ファンとしての心理が働くことも多い[要出典]。当初は、バキュームフォームキットであり、大まかな形だけを成形したものが多く、精密さや再現度は組み立てるモデラーの技術に依存していた。また細かな部品はバキュームフォームでは成形できないためメタルキャストといった技術が使われており、完成させるにはかなりの技術を要した。ホビージャパン1979年8月号において歯科用レジンを用いて複製された1/35ロビー・ザ・ロボットが発表されたのが日本における個人の製作したガレージキットの走りと言われている[要出典]。 1980年代初頭にはゼネラルプロダクツ(現ガイナックス)が設立され、バキュームフォームとホワイトメタルのガレージキットを数多く販売している。シリコーンゴムとレジンによってより精密で丈夫な複製が可能であることが広まると、絶版キットの複製や破損、紛失パーツの複製が行なわれるようになった。と同時に改造したパーツの合成樹脂による複製が可能となり、模型誌に発表されるプロモデラーの作品の複製を欲する動きが出始めた。そのため日本におけるガレージキットは著名な原型師の作品の複製であるという認識も根強くある。 レジンは接着が難しいなどの難点はあったが表面のディテールや細かなモールドも再現可能であったため完全な自作の原型を樹脂で複製したガレージキットが登場するにいたった。これらは主にSF映画や特撮作品の怪獣やヒーローなどのキャラクター製作に用いられ、完成度の高さから急速に広まっていった。日本でも80年代中頃から模型誌によって複製技術が紹介され始め、土筆レジン(ニッシリ)のプラキャストなどの複製素材が販売されるようになった。特にブームによりパーツの改造が一般化したガンプラでは複製技術は渇望されるものとなった。バンダイはB-CLUBというブランドを立ち上げ改造パーツや映像媒体を持たないガンダムシリーズの立体作品をリリースし始める。同名の模型誌も創刊されガレージキットの知名度、認知度は高まっていった。 一部のマニアの物であったガレージキットが一気にその市場を広げたのは、1990年代後半の『新世紀エヴァンゲリオン』の社会的ブームにおいてであった。同作は放送時に大手玩具・模型メーカーからの製品化が行われず(後にエヴァのプラモデルを発売したバンダイも放映前に持ち込まれた商品化の話を一度断っており、後年に「最大の失態」と評されている)、また前述のゼネラルプロダクツを前身とするガイナックスの製作作品だったためにガレージキット化最大の障害である版権許諾が比較的容易であった事などから、ガレージキットを中心にキャラクター商品展開が行われる形となった。本編の人気と共に、同作の立体物を作りたいという原型師・メーカー側と買いたいというユーザー側との欲求の一致によって、ガレージキットの歴史における一大ムーブメントと化していった。90年代後半のワンダーフェスティバルはほとんどエヴァ一色と化しており、その光景が当時のエヴァブーム報道において取り上げられた事が、一般におけるガレージキットやワンフェスの知名度を大きく押し上げる事となった。またガレージキットでありながら大手の大量生産品に迫る販売数が出た事から、塗装済み完成品フィギュアなどのマスプロ指向の製品がガレージキットメーカーからも発売される契機となった。そしてメカ物のガレージキットの市場拡大と造型技術の向上を促した存在としてファイブスター物語の存在がある。作者である永野護がモデラーでもあり、当初からモーターヘッドなどの立体に関してガレージキットでの展開を前提としており(これは諸事情から永野が大企業への版権許諾を行わないという姿勢から)、永野の描く緻密なイラストやディテールはまさに「原型師への挑戦状」ともいえる。天才と評される原型師谷明も元々はアマチュアの原型師だったが、永野に見出されて今や業界を代表する原型師となっている。 現在では市場が拡大し、少量多品種のキットを専門に製造するメーカーも登場した。また、大手メーカーが大量生産・大量販売をするほどのマーケットがないと判断した場合に、ガレージキットと同様の手法で商品を生産する場合もある。従って、なにをもってガレージキットと呼ぶのかという定義はかなりあやふやなものとなりつつある。個人やきわめて小規模なメーカーが少量生産し販売するものを狭義のガレージキットとし、それを越える規模のメーカーが販売するものは生産手法を問わず含めない、とする考え方もある(それらについては、生産手法に基づいて「レジンキャストキット」「エッチングキット」などと呼ばれる場合がある)。また一般向けの販売を目的としていない非商業的なものも、ガレージキットの範疇に含まれる。 分野としては、自動車・航空機・鉄道車両・船舶・兵器・宇宙船などの乗り物・機械類のほか、アニメーション作品や映画、実在の俳優などを含む各種キャラクターのフィギュア(人形)などがある。 また、ガレージキットの場合、そのキット商品のひとつで完結することを目指さない場合も珍しくはない。たとえば大量生産・大量販売されているキットの不満な点を改善するための部品セット、といった商品もある。そういった位置づけのガレージキットでは、マスプロ生産されるキットをベースとしたり、機能部品をマスプロ商品から流用したりすることが広く行われている。 [編集] ガレージキットの種類
[編集] ガレージキットの特徴ガレージキットは、少量生産向きの工作、複製方法で生産される。薄い金属板のエッチング加工・シリコンゴム製の型での複製・NC加工・一般の機械工作など。 キットの組み立てにはある程度の(時として高次元の)模型製作技術を必要とする。 複製・販売される「キット」に対し、その元となった図面や立体物を「原型」、図面や原型を製作した人を「原型製作者」「原型師」「マスターモデラー」などと呼びキットに明示されることが多い。 [編集] バキュームフォームによる生産バキュームフォーム(吸引成型)はプラスチック板の熱加工法の代表的なものの一つである。バキュームフォーマーと呼ばれる底面に空気抜きの穴を設けた台座の上に原型を置き吸引、熱したプラスチック板を大気圧で原型に押し付けて加工する。原型は底面に向けて面積が大きくなるように分割される。雄型が一般的だが形状によって雌型を用いることもある。製品はモナカのように中空の貼りあわせになるので軽くなり比較的大型のキットが製造できる。吸引は家庭用の掃除機でも可能であり、家庭用の小型バキュームフォーマーが市販されている。熱したプラスチック板を押し付けるので原型は木で作られることが多い。生産に手間がかかり細密な再現は難しいが、原型の破損は少なくある程度の量産が可能。 [編集] キャスティング(注型)による生産キャスティングは、原型から注型用の雌型を作成して樹脂や金属を流し込んで複製する。一般的なレジンキャストによる生産では、金属・プラスチック・粘土・パテなど各種素材で製作した原型を、シリコーンゴムで型取りし、液状の熱硬化性樹脂を注型し硬化させることで複製を得る。メタルキャストでは高温用のシリコンゴムを使い低融点の金属を溶かして注型する。シリコーンゴムは常温で硬化し、珪素を含むもの(ガラス)以外にはほとんど接着しないため原型素材の制約が少ない。ただし原型の表面形状によって型から剥がれなくなることがある。 射出成型に較べて初期費用は各段に少ないが、シリコンゴム製の型は消耗が早く、一つの型から得られる忠実な複製は数個~数十個程である。原型が破損しない限り、新たに型を作る事が出来る為、量産が可能だが、一個あたりの生産費は高めである。またシリコーンゴムの使用量が生産費と直結するため、細かく分割し部品点数を増やすと値段が倍増する。また柔らかいシリコーンゴムは歪みやすく、精度を保つためにもノウハウがある。 以前は業務用以外のレジンキャスト、シリコーンゴムの入手は困難であったが、現在はガレージキット販売店を中心に入手も容易になっており、またGK用キャスティング作業専門の業者も数多く存在する。 [編集] ソフトビニール生産ソフトビニール製の人形などは、まずロウ型と呼ばれるロウ製の雄型を製作する。ソフトビニールは熱で柔らかいうちに脱型するから、型は分割しない。このため原型を溶出して取り出す必要があり、ロウを用いる。 型に原料を流し込んで充分に型にまわして加熱し、薄皮ができたあたりで引き剥がすように製品を取り出す。ある程度逆勾配でも成型できる。とはいえあまりに小さな穴から大きな製品は抜けない。ロウ型は失われるが電気メッキを利用する雌型成型面はあまり消耗しないので大量生産に向いている。脱型の際に一度変形することもあり幾何学形状などを正確にコピーするには工夫がいる。 [編集] エッチングによる生産エッチングは、金属板を腐食性の液体で融かし、板厚を薄くしたり穴をあけたりする金属加工である。材料は、真鍮・洋銀(洋白)・燐青銅などが用いられる。 腐食させたくない部分に塗料を塗るなどの方法もあるが、ある程度の量産をする場合や精度の要求によって、写真技術を応用する(感光剤でマスキングする)。金属板上に精緻な模様をつけたり、薄い金属板の場合には細かな抜き加工をすることも可能である。 これにより生産される製品は薄板状の部品であることが多い。厚みのあるもの、面積(体積)の大きいものには向かない。生産費も高く、設備、技術にも専門性を求められるために精密さを要求されるスケールモデルの細部部品などに利用され、エッチングのみで一つの完成品となるキットはほとんど存在しない。製版フィルムが残っていれば製版は何度も繰り返すことができる。 [編集] NC工作機などによる生産レーザーカッター・フライス盤・ワイヤーカッターなどのNC工作機械によってパーツを製造することもある。これらは、生産費は安いものではないが、安定して一定精度の部品を生産できる。機能部品の製造などに用いられる。原型製作に用いられることもあるが、ガレージキットがもともと設備投資を抑えて作られてきた経緯からしても一般的ではない。原型データが残っていればいくらでも生産が可能だが、少数生産向き。各パーツを毎回工作機械で削りだして製作するキットは、美術工芸品としての精密縮尺の装飾銃やライブスチームなどの限られた分野のメーカーによる製品がほとんどである。 [編集] ガレージキットの位置づけと流通手作業の個人レベルで、原型を直接複製して生産されるため、モチーフに対する原型師の解釈や作家性が直接反映される点がガレージキットの魅力である。反面生産性が低く、マスプロ商品と比べると高価で販売数は少なく流通経路も限られている。 ある程度の数が生産・販売されるキットについては大型模型店などの流通ルートが徐々に整備されてきている。海外製品のレーシングカーやスーパーカーなど希少車のガレージキットが、日本国内でも比較的容易に入手できるようになってきた。 個人製作のキットについてはガレージキット展示即売会等で入手できる。主な即売会としてはワンダーフェスティバル(主催: 海洋堂)・C3・スワップミートなどがある。 最近ではインターネットを利用した通信販売で、ガレージキットメーカーが直接販売に乗り出していることもある。また、ガレージキットメーカーが、特定の小売店などに販売委託をし、そういった店を軸として通信販売や小規模卸などが行われている場合もある。 [編集] ガレージキットと版権模型はもともと模したものであり、ガレージキットの原点は、商業上の理由で生産されないマイナーな作品の立体化や、あまりに似ていない玩具的なアレンジの商品に対する不満などである。そのため元イメージに近づけることは大前提であった。しかしガレージキットの出来が良ければ良いほど版権(商品化の権利および販売専有の権利)所有者の権利を脅かすことは自明であり、ガレージキット黎明期からこの問題は付きまとった。1980年代のガンプラブーム以降、ガレージキットと版権(著作権や著作隣接権)は、アニメーション作品や映画などに基づくキャラクターフィギュアのケースで顕著となった。 アニメのファンジンや同人誌では絵が似ていない、ストーリーが違っている、などを理由に版権元は同人活動を半ば黙認、半ば無視していた。しかし方法論として似せることが大前提であるガレージキットでは版権元の許諾なしに販売活動を行なうことは難しかった。そのためボークスや海洋堂など初期のガレージキットメーカーは版権の許諾されやすい特撮作品の立体化を行なっていた。東映や円谷プロは小規模な企業にも版権を許諾したため、仮面ライダーの怪人や円谷の怪獣などが許諾のもと販売されていた。 しかし元々個人の趣味の範囲からスタートしたため、黎明期には既存のキャラクターをキット化したものであっても、版権元(著作権、商品化権等の所有者)の許諾を得ないで流通しているものもあった。1985年から始まったワンダーフェスティバルでは、そうした無版権のガレージキットときちんと契約をして販売されているガレージキットとの差異がますます浮き彫りとなった。許諾を得たディーラー(イベント参加者・ガレージキット販売者)は売り上げからロイヤリティーを支払い、また製品を許諾してもらうための審査も厳しい。しかしアマチュアとは言え無版権で販売しているディーラーが同じ会場内に存在していることも事実であった。 そういった状況の中、ワンダーフェスティバル(当時の主催者はゼネラルプロダクツ)は、当日版権制度というシステムを導入する。これはイベント主催者が個々の版権元と事前に交渉することで、そのイベント当日、イベント会場内だけに限定してキットの展示・販売に関する許諾を取りつけるというものであり、危ういバランスを保ちながらも多くの版権元からある種の一定の理解を得てどうにか継続されている。 だがガレージキットの認知度が高まり、市場が拡大されていくうちに1990年代以降からワンダーフェスティバルを中心としたガレージキット展示即売会の規模は拡大の一途をたどっていった。また造形素材の進歩、パソコン通信の発達といったガレージキットをめぐる環境の変化から版権元も版権ビジネスを意識し始めるようになる。1997年頃から始まった塗装済みフィギュアのブームと生産拠点の海外移転によるガレージキットの低価格化もあり版権の許諾はアマチュアに厳しくなりつつある。また、急速なインターネットの普及にともなってネットオークションで販売される会場限定キットや海外で複製され販売される無版権ガレージキットの増加により無版権(海賊版)キットに対する風当たりは強くなり、版権意識の向上を促すキャンペーンが模型誌上で展開されるようになった。供給側であるディーラーだけではなく、消費側であるユーザーにも海賊版は買わないように呼びかけられている。 なお、建築物・自動車・船舶・鉄道車輌・航空機などについては、「玩具としての意匠権」などの登録がない限り、模型化は原則として自由である。しかし、大手模型メーカーが「模型化許諾」という概念を持ちこみ、ナムコやタイトー、ソニー・コンピュータエンタテインメントと行った大手ゲームソフトメーカーがこれに追従した事やXB-70の愛称が日本国内でアニメに登場するロボット兵器の名称として商標登録されていた事をめぐる騒動、無責任ないくつかの企業が販売権を手中におさめるために、市場自体を破壊するような契約を自動車メーカーや航空機メーカーと結んだ例や版権ビジネスの広告媒体としてのうまみを知った一部の輸送機器メーカー側が暴走するなど少なからぬ混乱が見られるようになった。現在では、ガレージキットメーカー側からもこれらの混乱やトラブルを忌避される形で敬遠され、ファンからの模型化希望が多いにも関わらず商品化の企画が出てこないものも見られる様になっている。 [編集] 主要なガレージキットメーカーとブランド(取り扱い系統)
上述のメーカーの他、フィギュア#フィギュアメーカーの項目に掲載されているメーカーの中にも、ガレージキットを取り扱っているものは多い。また、フィギュアと同様に、アマチュアメーカーや個人事業主のレーベル、過去にこの業界に存在したものまで含めると、とてつもない数になる。 [編集] 関連項目
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